人生読本~20代からの読書日記~: 「天才!成功する人々の法則」マルコム・グラッドウェル著 勝間 和代訳

2017年1月25日水曜日

「天才!成功する人々の法則」マルコム・グラッドウェル著 勝間 和代訳

今回の本はこちら。

 


●著者・・・マルコム・グラッドウェル著 勝間和代訳

●価格・・・1700円+税


1万時間の法則というものをご存知でしょうか?


世間では“天才”といえばただその人が並外れた能力を持っていて、それこそ“天性の才能に恵まれた特別な人”ととらえられがちですが、この「天才!成功する人々の法則」の著者グラッドウェル氏は「天才とは本当に個人の才能によるものなのか?」と疑問を投げかけています。


そしてこの本の中で様々なデータや実例と共にその答えが明かされていきます。

1万時間の法則もその答えの一部でしかありませんが、この「天才!成功する人々の法則」を読むことでそれら「成功するための法則」を知ることができます。


① 1万時間とは成功へのマジックナンバーである


モーツァルト、ビートルズ、ビル・ゲイツ等々。

これら世界的に有名ないわゆる“天才”には、ある共通点があります。

それは、有名になる前の段階で全員1万時間に達するトレーニング期間があった、というものです。


モーツァルトは作曲を始めてから傑作を作り上げるまで約20年かかり、ビートルズは爆発的な成功を収める前に1日8時間で週に7日ライブを行い続け、ビル・ゲイツは1960年代から大学でコンピュータに触れプログラミングを学び続けていました。


また90年代のはじめにエリクソンという心理学者がある音楽学校のバイオリニストに行った調査も紹介されています。

この時バイオリニストを技量面で3段階に分け練習時間の調査を行ったのですが、その結果

・上級(世界的ソリストになりうる)→1万時間

・中級(“優れた”という評価)→8000時間

・下級(公立学校の音楽教師止まり)→4000時間

と、明確に練習時間の差があることが分かったのです。

彼らは皆小さい頃の練習時間はあまり変わりませんが、年齢が上がるにつれて上級者はどんどん1日の練習時間が増えていき最終的に1万時間に達するそうです。

そしてこの調査のもう一つ面白い点は、エリクソン氏が“生まれつきの天才を見つけられなかった”という点にもあります。


このように、世界的なレベルにまで技術を磨くためには必ず1万時間というラインを越えなければならないのです。



② 文化的な遺産は強い影響を及ぼす。深く根をおろし、長く生き延びる


「天才!成功する人々の法則」では前半に1万時間の法則、そして後半には文化や環境の面から成功者たちの共通点を探っていきます。


文化とは国や地域ごとの言葉や他人との関わり方、生活の様式等様々なものを含む言葉です。

この「文化」は自分が生まれるはるか以前から脈々と受け継がれてきたものであり、自分でも知らないうちに身に染み付いています。


日本も似ていますが、たとえば韓国では部下が上司に意見を言うことをあまり良しとしません。ポジションの違いというよりも、明確に序列としての上下関係が強いのでしょう。


一時期韓国の航空会社では、世界の他の航空会社に比べて格段に事故が多く起きました。

その大きな理由の一つが上記の上下関係で、たとえ部下(例えば副操縦士)が危険を察知したとしても上司(操縦士、機長)にその意見をしっかり伝えることができず、伝わったころには事故を回避する時間が無くなっている…なんてことがあったそうです。

そんな馬鹿な、と思うかもしれませんが、文化とはそれだけ強烈に我々を縛り付けているのです。


成功につながりそうな例として、アジア人がヨーロッパ人に対して有利な点を挙げましょう。


アジアでは昔から稲作が行われていましたが、稲作には複雑で忍耐の必要な作業が多くあるため、稲作をしない民族よりも勤勉になる傾向があるそうです。

これは、農家でもなければ自分の手で稲作をすることなんてほとんどない現代人にも受け継がれているそうです。


また、数字の発音が短く単純な言語を使う国の人は、数字の発音が長く複雑な言語の人たちより数学が得意になりやすいそうです。


これは同じ問題を解くにしても読む段階からほんの少しだけ早く簡単だからなのですが、そのわずかな差が徐々に大きくなり最終的には数学全体の成績にまで影響します。


このように文化とは、成功を考える際に決して無視はできないほど大きな要素なのです。



③「長時間にわたってトレーニングを積める機会」こそが「並外れた好機」


これは翻訳をした勝間さんによる解説の言葉なのですが、まさにこの「天才!成功する人々の法則」で説かれている内容を簡潔に言い表していると思います。


環境や文化によって手に入れたわずかな優位が次の優位を作り、さらにまたその次の優位を作り…と、成功する人というのは徐々に周りとの差を広げていきます。


そして最終的に1万時間のトレーニングを積むことができ世界的なレベルのスキルを手に入れたとしてもそれだけでは成功しません。

そのスキルを最大限に活かせる時代に生まれる必要すらあります。


しかしこうして適切な時期に1万時間のトレーニングを積むことができれば、その人は「天才」に限りなく近づくことでしょう。



私たちは出来ることも出来ないこともとかく個人の責任にしがちです。

しかしそこには、環境の力が大きく関わっています。


そうした文化や環境の影響を十分計算に入れたうえで適正な努力をすることによって、誰でも天才の域に達することはできるのです。


この「天才!成功する人々の法則」は、そうした私たち自身の可能性を示してくれる素晴らしい一冊です。




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